悪性腫瘍に対する薬物療法
前立腺癌に対する薬物用法
前立腺癌に対する治療薬には、大別して以下の3つの種類があります。
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ホルモン療法薬（男性ホルモンの分泌や働きを妨げることで癌細胞の増殖を抑える）
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化学療法薬（癌細胞の増殖を抑えたり、癌細胞を死滅させる作用をもつ薬）
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放射性医薬品（特定の放射性物質（ラジオアイソトープ）を含んだ薬を、注射などで体内に投与し、その薬から出される放射線によって治療効果を発揮する薬）
手術療法や放射線療法などの根治療法と併用してホルモン療法を行うこともありますが、診断時より骨などに転移のある場合や手術療法や放射線治療後に癌が再発してきた場合などにはホルモン療法を行います。前立腺癌はホルモン依存性の癌であることから、体内の男性ホルモンを低下させ、去勢状態にすることにより、癌の縮小や腫瘍マーカー（PSA）の低下が得られます。
ホルモン療法を続けていくうちに、去勢状態であるにもかかわらず、癌細胞が再度増殖してしまうことがあります。このような状態を去勢抵抗性前立腺癌と言います。去勢抵抗性前立腺癌に対しては、癌細胞増殖に必要な男性ホルモン（アンドロゲン）からの刺激を強力にブロックすることで、去勢抵抗性前立腺癌細胞の増殖を抑える抗アンドロゲン薬や、化学療法が必要です。
当院では、先に述べたホルモン療法薬だけでなく、化学療法であるドセタキセル、カバジタキセルという薬剤を使用した治療の導入や骨転移がある場合は放射性医薬品の導入を積極的に行うなどあらゆる薬物療法に対応しています。また遺伝に関係している癌の性質がある（BRCA遺伝子変異）去勢抵抗性前立腺癌の患者さんに対する個別化治療についても対応しています。
腎癌に対する薬物療法
腎癌の治療は、手術による外科的切除を中心に進めるのが基本ですが、癌が進行していたり、他の臓器に転移している場合、癌が再発した場合に対しては薬物療法を行います。
薬物療法は、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるニボルマブ（オプジーボⓇ）などの薬剤を使用する癌免疫療法や腎癌の増殖や浸潤、転移にかかわる分子を標的とする治療薬を用いた分子標的治療を組み合わせて行います。治療を開始する際は副作用の確認のため入院が必要ですが、その後は外来通院で治療が可能です。
治療法の選択は、癌の病期や患者さんの全身状態などを総合的に考慮したうえで判断します。
尿路上皮癌（膀胱癌、腎盂・尿管癌）に対する薬物療法
手術が難しい、または転移のある場合や癌が臓器周囲に広がっている（浸潤）場合は薬物療法を行います。薬物療法は、作用の違いにより抗癌剤を使って癌細胞が増えるのを抑える「化学療法」と、免疫チェックポイント阻害薬による免疫の働きを利用して癌細胞を排除する「癌免疫療法」に分けられます。
手術が難しい場合にも薬物療法を行いますが、尿路上皮癌に対する根治的手術（膀胱全摘除術や腎尿管全摘除術）が可能な場合でも、手術後再発や転移の可能性が高い場合に、手術前または後に化学療法を行うこともあります。いずれの薬物療法にも対応していますが、治療法の選択は、癌の病期や患者さんの全身状態などを総合的に考慮したうえで判断します。
