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高線量率組織内照射(HDR)

昭和大学医学部 泌尿器科学講座
高線量率組織内照射(HDR:High dose-rate brachytherapy)とは

高線量率組織内照射(HDR:High dose-rate brachytherapy)とは、放射線性線源をがん病巣の内部に留置し、病巣に直接、大線量を照射する治療法です。

体の表面から高エネルギー放射線を照射する外照射と異なり、微小な放射性物質を直接体内に置いて照射します。まず、前立腺にアプリケータ針(イリジウム線源を通すための内腔を持った管状の針)を肛門と陰嚢の間の会陰部から刺入します。次に刺入されたアプリケータ針と前立腺の位置関係をもとに、コンピュータにより最適な治療計画を作成します。最後にその計画に従ってイリジウム線源がアプリケータ針を通して前立腺内に挿入され、照射されます。

昭和大学医学部 泌尿器科学講座

(治療の様子です)

この治療では、線量配分が各個人の前立腺の大きさ・形に合うようにコンピュータにより最適な治療計画がなされているため、投与線量やその均等性の点で高い精度の治療が可能です。この小線源治療装置(フレキシトロン)によって、放射線を病巣に集中して照射することができ、周辺正常細胞の照射によるダメージを減らすことができます。照射(終了後にアプリケータ針はすべて抜去します。HDRは、中リスク以上の限局性前立腺癌に対し、外照射を併用して行うことが一般的ですが、高リスクの場合はさらに長期のホルモン療法を併用することが多く行われています。

HDRは低線量率組織内照射療法(密封小線源永久挿入治療)と異なり、線源は一時的な刺入ですが、照射回数や線量など定められたプロトコール(手順)は存在せず、施設によって異なるのが現状です。現在は照射回数を減らして1回にすることが一般的になりつつありますが、プロトコールによっては数日にわたり複数回の照射が行われる場合もあり、その際は照射が終了するまでの期間、アプリケータ針が刺入されたままの状態になるため、患者さんの負担が大きく、また線源のずれも発生することがあり、その場合は正確な照射が困難となることが予想されます。昭和大学では15Gy(グレイ)の線量で、1回照射を行っています。1回照射であれば、照射終了後に刺入した線源は即抜去できるため、患者さんの負担も少なく、入院日数の短縮などメリットも大きいものと考えます。当院では前立腺の被膜の外に浸潤したり、隣接する精嚢などに浸潤する局所進行した超高リスク癌を中心に行っています。

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